「はくしゅ」147:道徳 オリンピック選手から学ぶ

「ウォザースプーン選手」の語り
 
スピードスケート500Mは、1日目、2日目、1回ずつ、2回の合計タイムで勝負が決まります。1回でも失敗すれば、そこで「記録なし」となってしまいます。
 
スタートから、たった5歩でした。考えらられないようなまさかの転倒。金メダルの夢は1回目の、たった5歩で消えました。
 日本の清水選手と並び、金メダルの最有力候補の一人でした。長野オリンピックでは、清水選手に次ぐ銀メダル。こんな超一流の選手が、こんな失敗をしてしまったのです。
 
 転んだ瞬間、観客も他の選手も、あ然としてしまったそうです。
 
 レースを途中棄権し、ゴールをしないままリンクを去るウォザースプーン選手。悔しさ、ショックを受けているのはありありとわかります。大舞台での、大失敗です。
 でも、彼はこう約束します。
「明日はレースに戻ってきます。新記録も狙います」
 
約束通り、2日目も出場します。さて、結果はどうだったでしょう。
(記録を確認する。)
二日目。ここでどんなすべりをしても、オリンピックの勝敗にはまったく関係がありません。しかし、彼はレースに戻ってきたのです。
「五輪のために使った時間と努力を思うと、絶望しそうだったが、とにかく前に進むしかない んだ。」
「競技会というものは、すべてを受け入れて、ベストのパフォーマンスをするしかない。」
彼の記録は、34秒63。この日、誰よりも速くすべりました。
「いいレースをして、氷上の感触をつかんでおきたかった。いやなことを忘れるためにも、今 日は大事だった。」
 
 私たちはすばらしい技術に感動し、金メダルに歓声を上げます。
 しかし、失敗しそれでもなおあきらめない選手からも、私たちは多くを学び、感動をもらうことができるのですね。